3.一生成仏と広宣流布

立正安国

日蓮大聖人の仏法は、各人の生命境涯を変革し、今世のうちに絶対的幸福境涯を開くことを可能にする教えです。それとともに、各人の生命境涯の変革を通して、社会全体の平和を達成することを目指しています。
大聖人は、平和実現のための原理を「立正安国論」のなかで示されました。
「立正安国」とは「正を立て国を安んず」と読みます。
「立正」とは、人々が人生のよりどころとして正法を信受することであり、また、仏法の生命尊厳の理念が、社会を動かす基本の原理として確立されることです。「安国」とは、社会の平和・繁栄と人々の生活の安穏を実現することです。
「立正安国論」における「国」とは、権力を中心にした統治機構という面とともに、より一歩深く、民衆の生活の基盤としてとらえられています。その意味で、人間が形成している社会体制だけでなく、自然環境の国土も含まれます。
大聖人が民衆を中心に国をとらえられていたことは、「立正安国論」の御真筆において、国を意味する漢字を書かれる多くの場合に、国構えに民と書く「●=口に民」の字を用いられていることにも、うかがうことができます。
また、大聖人は「王は民を親とし」(1554㌻)と述べられ、権力者も民衆を根本とすべきであるとされています。また、国主となりながら、「民衆の歎き」を知らない者は、悪道に堕ちると言われています(36㌻)。
「立正安国論」は、直接的には当時の日本の安国の実現のために著された書ですが、その根底となっている精神は、民衆の安穏の実現にあり、したがって、未来永遠にわたる全世界の平和と人々の幸せを実現することにあります。
大聖人が、当時の人々の苦悩を解決するため、「立正安国論」を著し、権力者を諫められたこと自体、仏法を行ずる者は、ただ自身の成仏を祈って信仰していればよいのではなく、仏法の理念・精神を根本にして、積極的に社会の課題に関わっていくべきことを、身をもって示されたものと拝察できます。
「立正安国論」では「汝、すべからく一身の安堵を思わば、まず四表の静謐を禱らん者か」(31㌻、通解──あなたは、一身の安堵を願うなら、まず四表の静謐〈周囲の平穏、世界の平和〉を祈ることが必要ではないのか)と仰せです。
社会の問題から目を背けて、宗教・信仰の世界だけに閉じこもる利己的な姿勢は、むしろ大乗仏教において厳しく戒められています。
創価学会が、今日、仏法の理念を根本に、平和・文化・教育・人権などの分野で、地球的課題の解決に取り組んでいるのも、「立正安国」の法理と精神に基づく実践にほかなりません。

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