仏教の人間主義の系譜

法華経の行者=日蓮大聖人

日蓮大聖人は、混迷する社会にあって、民衆の苦悩をわが苦悩とされ、その解決の道を探究されました。
人間の真の幸福と尊厳を実現する仏法の継承を誓い、先人たちの探究を踏まえつつ、自らも諸経典を探索されました。そして、万人の無限の可能性の開花と社会への展開を説く法華経に、解答を見出されました。
さらに、人間の真の幸福と尊厳を確立し、社会の安穏を実現することを固く決意されます。仏教に対する無理解と旧来の思想への誤った固執に基づく強烈な反発や権力者からの厳しい弾圧に屈することなく、民衆を励まし、蘇生させていく実践を、法華経の教説の通り、命懸けで貫かれたのです。
大聖人は、「南無妙法蓮華経」と唱える唱題行を確立し、信仰の対象である御本尊を図顕されます。法華経の肝要の教えを取り出して確立し、万人成仏への方途を具体的に示し開かれたのです。
「立正安国論」には「国を失い家を滅せば、いずれの所にか世を遁れん。汝すべからく一身の安堵を思わば、まず四表の静謐を禱らん者か」(31㌻)と、人々の幸福を築くには、世界の平和と繁栄が不可欠であることを訴えられています。
大聖人は、「立正安国」──社会を支える根本原理として、人間尊厳の哲学を打ち立て、人々が安穏に暮らせる社会を建設すること──を、生涯の実践の根幹とされました。
それは、人間生命や人間社会を侵食する破壊的なエゴイズムを克服していくための釈尊以来の努力に連なるものであり、信頼と価値創造と調和に彩られた自他共の幸福の実現を願う仏法の根本精神に基づく、新たな人間主義の実践にほかなりません。
その機軸は、理性と人間性に満ちた「対話」だったのです。

  • facebook
  • twitter
  • LINE