世界情勢から身近な健康の話題まで——幅広
く和やかに語りあった2度目の会見(1990年
2月21日、アメリカ・ロサンゼルス)
長身の紳士が、血色の良いピンク色のほおをほころばせながら会見場に現れた。
20世紀最大の科学者の一人、ライナス・ポーリング博士である。
ビタミンCの研究で有名なポーリング博士は、「現代化学の父」とよばれる。1954年にノーベル化学賞を受賞。さらに、夫人とともに核兵器廃絶への取り組みを続け、1962年にはノーベル平和賞も受賞した。異なる分野での2つのノーベル賞を個人として受賞したのは、ポーリング博士が初めてである。
4度目となる会見の席上、ポーリング博士の
業績を紹介する「ポーリング展」開催を決定
(1993年3月16日、アメリカ・サンフランシ
スコ)
ポーリング博士が池田大作先生のことを知ったのは80年代前半のこと。ともに平和へと行動してきた夫人に先立たれ、孤軍奮闘していたときのことだ。あるジャーナリストに紹介されて手にとった名誉会長の著作や平和提言。その内容に博士は驚嘆する。
長年、核兵器について思索するなかで博士は「核兵器の一番の問題は、人間の生命に潜む狂気である」との認識を深めていた。その生命の問題をあつかう宗教者である池田先生が、これほど広範に、反核・反戦運動に取り組んでいるとは——そこにポーリング博士は目をみはった。
初の会見(1987年2月)は、ポーリング博士の強い希望によって実現し、その後、4度の語らいを重ねることとなった。
池田先生がクレアモント・マッケナ大学で
行った講演に対し講評するポーリング博士
(1993年1月29日)
1993年、池田先生がアメリカのクレアモント・マッケナ大学で講演(「新しき統合原理を求めて」)。ポーリング博士は、講演のコメンテーターをつとめた。当時91歳。単身、飛行機と車を乗り継いでかけつけた。
「世界平和を達成するために、大変な努力をしている方とお会いできたことがうれしい! その努力が実るよう、私にできることは何でも喜んで協力させていただきます!」——これが、池田先生と出会って以来の博士の真情であった。
講評でポーリング博士は語った。
「仏法で説く菩薩の境涯こそが、人類を幸福にします。悩める人に真心を込めて手を差し伸べる行動こそ、今、世界に必要なのです」「(現実は厳しくとも)私たちには創価学会があります。そして宗教本来の使命である平和の建設に献身される池田会長がいます!」