私たちはいま、
コロナ禍という世界的危機に直面しています。

このページでは、ブラジルの天文学者モウラン博士と
池田先生との対談集『天文学と仏法を語る』から、
3つのエピソードを紹介。

宇宙と生命を探求した二人の対話から、
試練を生き抜くための視点を探ります。

宇宙 第1話 南十字星の輝き

暗闇の中でこそ希望は輝く

南十字星

モウラン

南十字星の背景となる空がいちだんと暗いことが、南十字星の輝きを際立たせているのです。

私たちも、置かれた状況が暗ければ暗いほど、また、辛ければ辛いほど、より輝かなくてはなりません。暗い時、苦しい時ほど、私たちの生命の輝きを際立たせるように努めなければなりません。

星の輝き

池田

博士のおっしゃるとおり、大切なのは、どんなに困難な環境にあっても自分自身が最高最大に光っていくことです。これを仏法では「自体顕照」といいます。たとえ希望を持てない状況であっても、自分で希望をつくっていくことです。一切の可能性は、自らの生命の内に秘められているからです。

※自体顕照:森羅万象の本体(自体)を照らし出し、真理を顕現すること。ありのままの姿で、最高の智 慧・個性を発揮し、自分らしく輝くこと。

恒星も輝くためには、高温高圧のぎゅうぎゅう詰めの状態になり、核融合反応が始まることが必要です。
人間も同じ道理で、何度も試練を乗り越えてこそ、輝きを放つことができる。その光が、一家も、地域も、社会をも、生き生きと輝かせていける。
仏典にも「石はやけばはいとなる 金は・やけば真金となる」とあります。

宇宙 第2話 宇宙から見た地球

分断を乗り越える、宇宙的視野

宇宙飛行士

モウラン

天文学によって私の生命に、そしてまた他の人びとの生命にもたらされた大きな変化は、宇宙と同じくらい広大なものです。私の確信や視点を、あまりにも広く美しい宇宙に向けさせてくれた天文学に心から感謝しています。

私の心を、国境がない、ステレオタイプではない、偏見のない、修羅と嫉妬という二つの悪意がない状態にしてくれたのは、天文学なのです。天体を調べたり、研究したりしようとする時、修羅や嫉妬などの否定的な感情は本当に無意味なことに思えるのです。

※修羅:争い・怒りの生命。他人に勝ろうとする自己中心的な心にとらわれ、心が曲がってものごとを素直に見られない状態。

星の輝き

池田

私は「生命の尊厳」「平和主義」を心情として、国家やイデオロギーを超え対話によって、分断から調和への潮流をつくりたいと願ってきました。

宇宙的視野に立てば、人間は同じ地球の住人であることが分かります。運命共同体であることを知るでしょう。また人間は誰しも、かけがえのない存在だとも気づくでしょう。こうした生命観、宇宙観は、私たちに利害を超えた対話を促すのです。

宇宙の探求は、人間の生き方、人間の哲学を新たに見直す契機となります。いわば、天文学は平和への使命を担った学問ともいえるでしょうか。

モウラン

地球も宇宙の一員なのです。
さまざまに存在する世界の一つとして、自らの世界を認識する--天文学が人間を謙虚にする一つの側面が、ここにあります。

宇宙 第3話 星のこども

宇宙大に広がる
人間生命の可能性

モウラン

人間の「生命の尊厳」は、世界、そして宇宙の「主要な価値」として考えられ、護られるべき非常に重要な点です。なぜならば、人間の生命ほど大切なものはないからです。

宇宙と比べれば、私たちの存在は小さなものかもしれませんが、決して意味のない存在ではありません。

むしろ、私たちが宇宙を見て、宇宙を勉強することによって、自分が宇宙と比べて、とても小さな存在だという謙虚さをしっかり学べば、その人間から生まれる力は、限りないものであると思うのです。

星の誕生

池田

至言です。今、博士は、この対談を貫く、根幹の哲学を語ってくださいました。「外なる宇宙」を学ぶことは、「内なる宇宙」である人間の生命を学ぶことと決して無関係ではありません。

深き英知の眼で見れば、人間の生命には、大宇宙をも包含する広大な世界--「内なる宇宙」が広がっていることを、仏法では強調しているのです。

大乗仏教の神髄である法華経では、巨大な「宝塔」が大地から出現します。その意味を弟子から聞かれた日蓮大聖人は、「あなたの生命こそ宝塔です」と答えられております。そして、人間生命のなかにある「宝塔」は、金、銀、瑠璃、 硨磲(しゃこ)、瑪瑙(めのう)、真珠、玖瑰(まいえ)という、七種類の壮麗な「宝石」で飾られていると説かれています(『御書』1304ページ)。これらの宝石とは、いうまでもなく「精神的価値」の象徴です。

多彩にして豊かな生命の「宝」、すなわち「善性」を開発するところから、はびこる暴力に打ち勝って、他者との信頼ある共存、恒久なる平和を創出しゆく道が開かれていくのではないでしょうか。

ロナウド・ロジェリオ・デ・フレイタス・モウラン (Ronaldo Rogerio de Freitas Mourao)

1935年、ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。天文学者・作家・エッセイスト。グアナバラ州立大学(現リオデジャネイロ州立大学)卒業後、ベルギー王立観測所、フランス各地の観測所に留学し、パリ大学(ソルボンヌ)で博士号取得。84年、天文学博物館を創設し、初代館長に就任。ブラジル歴史地理院名誉会員、リオデジャネイロ歴史地理院会員などを経て、2001年、ブラジル歴史地理院正会員。80年5月22日に発見された「2590小惑星」は「モウラン」と命名され、名前が小惑星についた初のブラジル人となる。

ロナウド・ロジェリオ・デ・フレイタス・モウラン

池田大作 (いけだ・だいさく)

1928年、東京都生まれ。創価学会名誉会長。創価学会インタナショナル(SGI)会長。創価大学、アメリカ創価大学、創価学園、民主音楽協会、東京富士美術館、東洋哲学研究所などを設立。国連平和賞、ブラジル南十字国家勲章、「世界桂冠詩人」など受賞多数。モスクワ大学、グラスゴー大学、北京大学、デリー大学、済州大学、デンバー大学などの学術機関から授与された名誉博士、名誉教授称号等の称号は396に及ぶ(2020年2月現在)。
著書に『人間革命』(全12巻)、『新・人間革命』(全30巻)のほか、トインビー博士との対談『21世紀への対話』、ゴルバチョフ元ソ連大統領との対話『20世紀の精神の教訓』など、世界の知性との対談集多数。

池田大作

天文学と仏法を語る 池田×モウラン 対談

単行本:333ページ
出版社:第三文明社
発売日:2009年4月1日

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